サヨナランドリー「歯車の伝言」

先のリーディング公演を観て、映像作品のことを思い出したのでメモ。

「歯車の伝言」はサヨナランドリーと安田弦矢くんがコラボした映像作品だった。
印象的なシーンがいくつかあったんだけど、多分それは脚本と役者と映像(というかカメラで切り取ってるもの?)が噛み合っている部分だったのかなと思う。

欲をいえば、映像ならではの良さがもっと観たかった。前田さんの作・演出する舞台が面白かったから。
多分、映像にするからには映像としての見せ場をどう作るかを考えなきゃいけないし、これが何を表現したいシーンなのかを突き詰めなきゃいけないんじゃないだろうか。
観客としては無意識にそのシーンの意味を探ってしまうので。

例えば漫才のシーンに人が入っていないから彼らが売れていたのか全くダメだったのかわからない、とか。
アップになってるけど表情が変化してないね、とか。

演劇なら素舞台でいけるものも、映像にすることで大変になるという部分があるのかもしれないと思った。

2月4日 サヨナランドリー「踊り場の記憶」

ぶらり♪まちなか劇さんぽ企画のリーディング公演。


真面目すぎるくらい真面目な女の子の話だけど、こんな部分があるかもと思わされるような内容。


主人公の現在と記憶を波のようにいきつもどりつする、場面の切り替えが多いお芝居だけど、熱くなりすぎず冷めすぎず、一定のテンションを保って進行していく。主演の宮村さんが場面を背負って動かしていた。私は学校のシーンと海のシーンが好きだった(見えない人がいたのかもだけど)。


客演の西村さんが演じた役がよくて、こういう元気そうな女の子をウザくなく親しみやすい存在にできるって素敵。弱いのか図太いのかわからない困った妹も、なぜか人の機微に一歩分近いような。


作・演出の前田芽衣子さんは自分の描きたいものがあって、それを表現する書き方ができて、それを劇として成立させる演出も堅実につかんでいるのだろうな、と思う。


等身大に近い視点から描き続けるのか、何か違うところを目指すのか。また本公演を観たいな。

2月5日 リーディング「わが腹」

日本劇作家協会 九州支部 月いちリーディング

たどみどり「わが腹」

枝光本町アイアンシアター

戯曲のブラッシュアップを目的に、リーディング&ディスカッションが実施されたもの。

役者さんが豪華で、そのなかでも宗真樹子さん、中嶋さとさん、大塚恵美子さんのお芝居を拝見できたのが嬉しかった。お芝居を続けられている女性ってなかなか少ないので…。

個人的には劇作をされている方たちの意見が面白かった。

書く人は結局「自分ならどう書くか」を考えるし、指摘されたことをそのまま直したりはしないだろうな、意地でも。

それをわかっていながら、どうせ好きにするんでしょ、と思いながらも指摘するというのがポイントだと思う。言うだけなら簡単だということもわかりつつ。。

個人的にはリーディング直後に「感想、質問、批判含めての意見」を切り分けて発言するのは難しかった。観客として初めに出るのは「わかった、面白かった」みたいな感想だし、シーンごとに感じたことを言葉にしていくのはよほど意識していないと。

何をどこで言えば建設的なのだろう…とも思った。

私は現実パートよりも回想・夢パートが好きで、お芝居の中で一番に残ったのは、彼女の喪失感だった。

自分のことをお芝居にするときには、「わかってほしいけど、簡単にわかったといってほしくない」というせめぎ合いがあると思う。でも、そこを越えないと他人には手渡せないので、皆いろんな方法で何とか自分から切り離して客観化していくのではないかな。

私だったらどう自分から離していくかなと考えていたら、ちょっとヒントを得ることができた。

たどさん、ありがとうございました。